「縦割り組織」とは、企業における組織の形態のひとつです。日本ではこの縦割り組織を取り入れている企業が多いものの、近年ではフラットな組織体系を採用している企業も増えているといわれています。
こちらの記事では、縦割り組織によって発生する可能性がある弊害に加えて、そのような問題を解決するための方法についてまとめていますので、組織の改善について検討されている場合にはぜひ参考にしてみてください。
企業において業務内容ごとに部門を細分化し、縦で分けている組織の形態を「縦割り組織」と呼びます。日本では、縦割り組織のひとつである「事業部制組織」が多く採用されています。この形態は、本社の配下にいくつかの事業部を配置していく形となっています。
縦割り組織の場合には、事業部ごとに業務内容や責任範囲がはっきりと分けられている点が特徴となっていますが、トップダウンの思想に陥りやすい面もあります。また、事業部ごとに分かれていることから、他の組織に興味関心がないという状況に陥る場合もあります。
縦割り組織が採用されている場合には、「組織が硬直化しやすい」というデメリットが考えられます。
縦割り組織においては従業員の役割が固定されることになりますが、この場合は自分が担当している業務や分野について突き詰められる反面、その分野のみに詳しくなり自分の周りにいる人の意見のみ聞くようになる傾向が見られます。その結果広い視野を持つことが難しくなってしまい、創造的な発想ができなくなる点がデメリットとして挙げられています。
また、所属している部署やチーム内だけのルールや常識などが生まれがちになること、さらに他の部署などへの関心が薄くなる面もあります。このような状況に陥ってしまった場合、部署間で協力すべき場面があったとしても見てみぬふりをしてしまうケースも。そして状況が悪化すると他の部署に必要以上にライバル意識を持ってしまう、敵対心を持ってしまう可能性も考えられます。
部署間で連携・協力が行われない組織の場合、生産性が低下してしまい全体の利益を大きく損なう可能性もあります。
まずは、従業員間の情報共有をスムーズに行うためのツールを導入するのがおすすめです。例えばそれぞれの部署が担当している仕事の進捗状況を見える化するなど情報共有をしっかりと行うことにより、それぞれの部署で獲得したノウハウを全社的に活用できるメリットもあります。
また、他の部署でどのような業務に取り組んでいるのかが見えるようになり、部門間のコミュニケーションが活発に行われるようになります。この点から、自分が所属する部署のことだけを考えて動くことがなくなるため、企業全体で利益を上げるという目標に取り組めるようになります。
評価制度を見直すのも縦割り組織の問題を解決する方法のひとつといえるでしょう。例えば年功序列制度のような昔から行われてきた評価制度に加え、目に見える成果を上げられた人をしっかりと評価し、定量的な観点からの評価が可能となる仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。このような取り組みにより、業務や組織への貢献に対するモチベーションにつなげられる効果が期待できます。
ただし、評価制度を急に大きく変更した場合には従業員から反発が起こる可能性もありますので、段階的に進めていくことが大切なポイントです。
縦割り組織の場合、コミュニケーションが閉鎖的になってしまうケースがあります。この場合には、社内の交流イベントの開催により、部署間で交流を持てる機会を作ることも改善につなげる方法のひとつといえます。
さまざまな部署の人が交流できるようなイベントを企画できれば、イベントに参加した従業員は自ずと他の部署に所属する従業員と関わることになります。一度イベントなどで交流を持っていれば、普段の業務においても協力体制を築きやすくなるため、企業全体の利益を考えて行動するようになると考えられます。
縦割り組織とはどのような組織なのか、また縦割り組織によって起こる可能性がある弊害や改善方法についてまとめてきました。日本では縦割り組織を導入している組織が多いものの、取り組み次第によってはそれぞれの部署が協力体制をとり、全社一丸となって企業の利益を考えた行動を取れるようになるでしょう。
もし自社で縦割り組織の弊害が見られるようなことがあれば、こちらの記事でご紹介した改善策に取り組んでみてはいかがでしょうか。